現在の舞鶴市河辺由里(カワベユリ)。明治17年当時、戸数 14戸、社3戸、総計17戸、人数 男49口、女37口、総計86口。
・出典 京都府地誌32~35加佐郡村誌1~4、京都府庁文書、京都府立京都学・歴彩館所蔵
村誌
丹後國加佐郡河辺由里(カウベユリ)村
本村古時神戸郷ニ属スト云、然トモ此郷名今全ク湮滅シテ存セス、近古ヨリ志樂郷ニ属セシモノノ如シ、即チ本村以下十一ヶ村<平村・夛称(祢ヵ?)寺村・中田村・杤尾村・河辺中村・西屋村・室牛村・觀音寺村・河辺原村・赤野村・大山村>ヲ河辺ノ荘ト称スルヲ按スレハ、文字ハ相違スレトモ訓ノ相通スルヲ以テ、中古郷名ヲ変シテ荘名トナセシモノ歟、他ニ考証ノ拠ルヘキナシ
●疆域 東ハ同郡河辺原村、西ハ西屋村ト各山嶺ヲ以テ界シ、南ハ室牛村ト耕地ヲ以テ界シ、北ハ觀音寺村ト山林ヲ以テ界シ、西北隅ハ僅ニ夛称(祢ヵ?)寺村ト山ヲ以テ界ヲ限ル
●幅員 東西六町四十間、南北十二町、面積欠ク
●管轄沿革円満寺村誌ニ同シ
●里程 京都府庁ヨリ西北方本村元標ニ達スル凡二十九里三十四町、宮津支庁ヨリ東北方凡十一里三十四町、四隣東河辺原村ヘ五町十五間<実測>、南室牛村ヘ五町十五間<実測>、北觀音寺村ヘ十四町十二間<実測>、西々屋村ヘ七町七間<実測>
●地勢 南北ニ延長シ東西ニ短縮ス、漸南漸豊大ナリ、而シテ北部山岳屛列シ南部開濶耕田相望ム、運輸不便薪炭乏シカラス
●地味 黒色粘土ニシテ中等質タリ、稲禾ニ宜シクシテ桑・茶ニ可ナラス、水利ハ便ナレトモ時々水害アリ
●税地 田<八町五反九畝拾八歩>、畑<壱町弐反壱畝五歩>、宅地<五反四畝拾弐歩>、山<反別欠ク>、総計<拾町三反五畝五歩>
●字地 東谷<村ノ東ニアリ、東西一町三十五間、南北三町三十間>、サンマ<同上、東西四十間、南北三町三十五間>、若宮<村ノ東南ニアリ、東西四十間、南北一町十間>、千本<村ノ西ニアリ、東西二町十七間、南北一町二間>
●貢租 地租<金百弐拾五円三拾銭五厘>、山税<金弐円弐拾六銭六厘>、総計<金百弐拾七円五拾七銭壱厘>
●戸数 本籍十四戸<平民>、社三戸<無格社>、総計十七戸
●人数 男四十九口<平民>、女三十七口<平民>、総計八十六口<他出寄留男一人>
●牛馬 牝牛十頭
●山 長野山<高六十七丈八尺、周回欠ク、村ノ北ニアリ、嶺上ヨリ四分シ、東ハ觀音寺村ニ属シ、西ハ西屋村ニ属シ、北ハ夛称(祢ヵ?)寺村ニ属シ、南ハ本村ニ属ス、山脈東西ニ連亘ス、樹木生セス、登路アレトモ小逕ナリ、渓水一条、山間ヨリ発シ西南流シ村内川ニ入ル>
●川 村内川<北方觀音寺村界ヨリ来リ南方河辺原村界ニ入ル、長六町三十七間、巾二間半、平素水ナシ、霖雨ノ際暴漲ス>、千本溝<本村北方山谷ヨリ発注シ、本村ノ田若干歩ヲ養ヒ下流川辺川ニ入ル、長二町三十五間、巾二間>、東谷溝<東北方觀音寺村ヨリ発出シ、本村ノ田若干歩ヲ養ヒ下流村内川ニ入ル、長二町五十間、巾三間>
●道路 村道<東方河辺原村界ヨリ西方西屋村界ニ至ル、長四町二十六間、巾八分>
●社 若宮社<社地東西六間、南北七間半、面積四十七坪、村ノ南ニアリ、祭神詳ナラス>、下森神社<社地東西六間半、南北十三間、面積八十四坪、村ノ南ニアリ、倉稲魂命・大国主神ヲ祭ル、祭日六月十二日>、山神社<社地四覆欠ク、面積十二坪、村ノ東方字東谷ニアリ、大山祇命ヲ祭ル>
●物産 苧<八貫目>、薪<千二百貫目>、已上舞鶴市街ニ輸送ス
●民業 男<農ヲ業トスル者十四戸>、女<農ヲ業トスル者二十四人>