現在の舞鶴市上東(カミヒガシ)。明治17年当時、戸数 58戸、社1戸、総計59戸、人数 男105口、女133口、総計248口。
・出典 京都府地誌32~35加佐郡村誌1~4、京都府庁文書、京都府立京都学・歴彩館所蔵
村誌
丹後國加佐郡上東(カミヒガシ)村
本村往古凡海郷ノ属ニシテ由良荘ノ部内ニアリ、古来変遷ナシ
●疆域 東ハ同郡上福井村・下東村ト山林及ヒ耕地ヲ以テ界シ、西北ハ大雲川中央ヲ以テ八田・丸田ノ両村ニ界シ、南ハ三日市・久田美ノ両村ト山嶺ヲ以テ界ス
●幅員 東西凡九町十間許、南北凡十六町五十間許、面積欠ク
●管轄沿革 円満寺村誌ニ同シ
●里程 京都府庁ヨリ西北方本村元標ニ達スル凡二十五里十九町五十六間、宮津支庁ヨリ東南方凡五里、四隣南三日市村ヘ十三町四十一間<実測>、東下東村ヘ十三町三十四間<実測>、東南上福井村ヘ二十八町四十三間
●地勢 東南山岳ヲ負ヒ、西北大雲川ヲ帯フ、全村概平坦ナリ、運輸便利薪炭乏シ
●地味 其色淡黒小砂ヲ交ヘ其質下等タリ、稲・麦ニ適セスシテ菜蔬ニ可ナリ、水利ハ略便ナリ
●税地 田<廿八丁七反九畝七歩>、畑<拾壱丁三反弐畝拾八歩>、宅地<壱丁八反弐畝廿八歩>、山<反別欠ク>、薮地<八反弐畝廿六歩>、総計<四拾弐丁七反七畝拾九歩、外荒地弐畝廿七歩>
●字地 滝尻(タキシリ)<村ノ南ニアリ、東西一丁四十間、南北一丁四十間>、和田前(ワタマヘ)<村ノ西ニアリ、東西五十二間、南北三十間>、江ヶ白(エガシラ)<村ノ北ニアリ、東西二丁三十間、南北四十間>、已上著名ノ字ヲ挙ク余ハ省略ス
●貢租 地租<金五百六拾八円拾五銭五厘>、山税<金六拾銭八厘>、国税<金廿銭>、総計<金五百六拾八円九拾六銭三厘>
●戸数 本籍五十八戸<平民>、社一戸<村社>、総計五十九戸
●人数 男百十五口<平民>、女百三十三口<平民>、総計二百四十八口
●牛馬 牝牛七頭
●舟車 日本形舩一艘<五十石未満荷舩>
●山 滝尻峠<高凡六丈六尺許、周廻分明ナラス、村ノ南ニアリ、全山本村ニ属ス、山脈東北ニ連亘ス、満山潅木繁茂ス、登路一条アリ、本村字滝尻ヨリ上ル昇リ二丁、険路ニシテ上福井村界ニ至ル>
●川 大雲川<二等河ニ属ス、深所一丈、浅所三尺許、巾七十間許、清水緩流、舩筏日々通ス、西南方三日市村界ヨリ来リ、北流シ東北方下東村界ニ入ル、長十六丁十間>、滝尻川<源ヲ本村字上浦池ヨリ發シ、西ニ赴キ字章魚須ニ至リ、大雲川ニ入ル、長二十丁四十間、巾四尺、田二十五丁歩ノ用水ニ供ス>、藤ノ木橋<村往還ニ属ス、架シテ村ノ南方滝尻川ノ上流ニアリ、長七尺、巾五尺、石造、下同シ>、里口橋<同上、架シテ村ノ西方滝尻川ニアリ、長六尺、巾四尺>、湯前橋<同上、架シテ村ノ東方滝尻川下流ニアリ、長六尺、巾四尺>、下田溝<源ヲ本村字立畑ヨリ起シ、北ニ赴キ大雲川ニ入ル、長二丁五十五間、巾四尺、田ノ用水ヲナサス>、水田溝<源ヲ本村字印(臼?)井ヨリ發シ、北ニ趣キ大雲川ニ入ル、長六丁五間、巾四尺、田弐丁歩ノ用水ニ供ス>
●湖沼 上浦池<東西一丁四十間、南北一丁四間二分、周回八丁四十四間、村ノ南ニアリ、本村及ヒ上福井村ノ共有ナリ事ハ上福井村誌ニ詳ニス>
●道路 村道<南方上福井村界ヨリ西南方三日市村界ニ至ル、長十四丁四十間、巾一間、本村南方字上浦ヨリ左ニ折レ三日市村ニ通ス、又字藤津ヨリ右ニ折レ本村民家ノ在ル所ニ通スル両支道アリ>
●堤塘 和田前堤<大雲川ニ沿ヒ、村ノ西方字和田前ヨリ起リ字柴原ニ至リ、蓋ク長四丁三十五間、馬踏四間、堤敷八間、根堅メ小竹ヲ植ウ、修繕費用ハ官ニ属ス>、滝尻堤<滝尻川ニ沿ヒ、村ノ南方字滝尻ヨリ字里口ニ至ル、長四丁四十八間、馬踏三尺、堤敷一間二尺、根堅メ柳樹ヲ植ウ>
●社 藤津神社<村社々地、東西七間、南北十五間三分、面積百七坪、村ノ南ニアリ、春日大神・八幡大神・大日霎貴神ヲ祭ル、古来ノ沿革詳ナラス、祭日八月五日、境内末社四座及ヒ差尌一株アリ>
●村会所 東西四間、南北二間、面積八坪、村ノ中央ニアリ
●物産 大豆<四石五斗>、繭<八十貫目>以上舞鶴市街ヘ輸送ス
●民業 男<農ヲ専トスル者十戸、農ヲシテ養蚕ヲ兼ヌル者四十戸>、女<農ヲ業トスル者六十五人、養蚕ヲ兼ヌル者五十人>