舞鶴の山城 笛のきらいな神様(小倉の民話)

 村の中ほどに若宮さんがあり、ここの神様は笛がきらいである。村祭りの祭礼に振りもん(太刀振り)と踊り(田楽の類)は奉納するが、笛の入る祭囃子はあげないことになっている。

 村の奥の一番高い山をマサコ(真迫)と呼び、別名を城ヶ尾ともいう。頂上は広くはないが平坦で、昔の城跡だと伝えられている。この城がぐるりから敵に囲まれたことがあった。だが、切り立ったような急な山なので、何日攻めても落城しそうもなく、敵は最後の手段として夜討ちをすることになった。

 中ほどまでは攻めたが、それ以上は真暗でもあり、どう攻め登ってよいのか見当もつかない。すると上の方からかすかに笛の音のようなものが聞こえて来た。その音を頼りに静かに登って行くと、それは紛れもない笛の音だった。城中の姫が吹くのであろうか。この笛の音によって寄せ手は四方から城塞にたどり着き、一斉に攻め込んだ。もとより小さな山城のことで、不意を突かれて防ぎようもならず落城した。

 城主、奥方、子女達は家来に守られ、ようやく血路を開いて尾根伝いに隣村近くのふもとにたどり着いた。しかし、敵に囲まれ多勢に無勢、ついにあえなく最期を遂げた。この地が小字千原である。

 非業の死を遂げた城主は、小倉にとっては殿様であるので村民はその徳を慕い、怨念を慰めようと、家族ともども若宮神社に祭った。落城のもとになったのは笛の音であったので、いまも社前では笛を吹かない。

(「舞鶴市史各説編」より)

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