余部上村の「作方年中行事」2月

X、#太郎左衛門のつぶやき、で記した農作業は、余部上村の「作方年中行事」(井上奥本家文書)を基にしている。太郎左衛門は、余部上村庄屋、文化10年(1813)7月に「作方年中行事」を藩に提出した。余部上村を中心に、西から久田美・青井・大山・成生・野原村の行事と比較し参考とする。

2月6日
引き続き、麻苧を蒔いて、肥持ち、薪を取り、雨天には藁仕事や木綿の糸引だ。初午の日は稲苅参りのため半日休み、稲荷神社に参るのが多いので、稲刈りと関係があるのかも。野原も氏神へ参り朝は休み、青井や成生も半日休み、所々へ参詣するとのことだ。

2月13日
ここ数日、いろいろな作物の中打ち、肥持ち、麦の草取、雨の日は薪を取り、木綿の糸引をする。亥の子の日には粟餅とゆりこ餅を作り、月数程の田の神へ備える。また、宗門改の日は男は休日となる。

2月21日
今日から、麦、そら豆、えんどうの中打、草取をはじめる。雨の日はこれまでと同じ薪取りだ。
青井では、夏大根や牛蒡・稗を蒔き、この頃より麻・荢を蒔く。年によって少々遅速もあるとのことだ。野原でも、彼岸の時には麻やなす・麦・大根を蒔く。

2月24日
今日は半日休みで、諸作の中打や草取の後、昼から涅槃会に参る。野原・成生・青井では愛宕講で半日休み、青井は大川神社へ参るそうだ。
26日も休日、荒神祭で毎年覚養院に頼んで村祈祷をしてもらう。成生では28日に荒神講をして、村内の田畑林等の境を改めるとのことだ

2月28日
昨日から、肥持、薪取りだ。女はゑもき(ヨモギ)を取って、これをゆでて干し、から臼ではたいて囲い置いておく。そして、年内に作るゆりこ餅に交ぜる。久田美では、天豆(空豆)の中打、草とりをおこなうとのことだ。

京都府立大学文化情報研究室・舞鶴地方史研究会「翻刻 作方年中行事・山論・献立・日露戦争」 京都府立大学文化遺産叢書16『舞鶴の地域連携と世代間交流 井上奥本家文書調査報告』160(1)-139(22)頁、2019

二月
朔日 麦中打、或ハ男女薪樵、雨天ニハ藁仕事、女木綿拵
二日 右同断
三日 右同断
四日 右同断
五日 麻苧蒔、こへもち、男女共薪樵、雨天ニハ藁仕事、女木綿糸引
一初午之日は半日休、稲苅参りニ而
七日 右同断
八日 右同断
九日 菜種土かい、麦中打、女ハ草取、雨天ニハ男女厩こへ出し
十日 右同断
一亥之子之日ハ粟餅・ゆりこ餅致、月数程田ノ神江備江申候
十一日 諸作中打、又ハこへもち、女麦草取、雨天ニハ男女薪樵、或ハ木綿糸引
十二日 右同断
一宗門御改之日ハ男ハ休日
十三日 右同断
十四日 右同断
十五日 半日休、諸作中打、女草取、昼ゟねはん会参り
十六日 諸作中打、或こへもち、女麦草取、雨天ニハ男女共薪樵
十七日 右同断
十八日 右同断
十九日 右同断
廿日 右同断
廿一日 麦中打、そら豆・えんどう中打、女草取、雨天ニハ男女薪樵
廿二日 右同断
廿三日 右同断
廿四日 半日休、諸作中打、女草取、昼ゟねはん会参り
廿五日 右同断
廿六日 休日、荒神祭り、例年覚養院頼村祈祷致し
廿七日 こへ持、男女薪樵、又女ハゑもき取、是ゆで干てから臼ニ而はたき、囲置、年内ゆりこ餅交申候
廿八日 右同断
廿九日 右同断
晦日 右同断

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