余部上村の「作方年中行事」11月

X、#太郎左衛門のつぶやき、で記した農作業は、余部上村の「作方年中行事」(井上奥本家文書)を基にしている。太郎左衛門は、余部上村庄屋、文化10年(1813)7月に「作方年中行事」を藩に提出した。余部上村を中心に、西から久田美・青井・大山・成生・野原村の行事と比較し参考とする。また、旧暦なので約1ヶ月遅れの記事で調整した。

11月4日(旧暦)
11月に入ってから、7月に蒔いた大根や木綿を引いたり、菜種の草取をしている。今日は年貢の収納の残り、諸作物の中打、そら豆の草取も行う。明日からは肥え持ちや、冬に向けての薪樵がはじまる。

11月10日(旧暦)
7日から厩の肥出しや麦の中打、薪樵を行う。雨の場合は藁仕事、綿打、木綿の糸引となる。大山でも、天気がよいときは2月までは薪取り、雨の場合は麻網の縄ないと聞いた。冬はしぐれや雪が多い。

11月21日(旧暦)
やっと年貢の収納が終わったが、明日から大豆の上納が始まる。引き続き薪樵を行い、雨の場合は藁仕事、綿打、木綿の糸引となる。
大山では、16日「仏法納」といって、この日から六齋を打たない。ただし正月16日までとのことだ。

京都府立大学文化情報研究室・舞鶴地方史研究会「翻刻 作方年中行事・山論・献立・日露戦争」 京都府立大学文化遺産叢書16『舞鶴の地域連携と世代間交流 井上奥本家文書調査報告』160(1)-139(22)頁、2019

十一月
朔日 男女共大根引、綿木引、或ハ中打、女ハ菜種草取
二日 右同断
三日 右同断
四日 御収納相勤残り、諸作中打、女そら豆草取、又大根引
五日 こへもち、諸作中打、女ハ薪樵
六日 半日休、右同断
七日 男女共厩こゑ出し、雨ニ而ハ藁仕事、又ハ綿打、女木綿糸引
八日 御収納相勤申候、男女共蒔樵、厩こゑ出し
九日 麦ノ中打、薪樵、雨天ニ而ハ藁仕事、又ハ綿打、女木綿糸引
十日 右同断
十一日 右同断
十二日 御収納相勤申候、男女共薪樵、雨天ニ而ハ藁仕事、女木綿糸引
十三日 男女共蒔樵、雨天ニ而ハ藁仕事、又ハ綿打、女木綿糸引
十四日 右同断
十五日 右同断
十六日 御収納相勤申候、男女共蒔樵、雨天ニ而ハ藁仕事、女木綿拵
十七日 こゑもち、女薪樵、雨天ニ而ハ藁仕事、又ハ綿打、女綿糸引
十八日 右同断
十九日 右同断
廿日 御収納相勤申候、男女ハ薪樵、雨天ニ而ハ藁仕事、女ハ木綿糸引
廿一日 男女薪樵、又ハこへ持、雨天ニ而ハ藁仕事、或ハ綿打、女ハ木綿糸引
廿二日 右同断、此時分ニ大豆上納致候
廿三日 右同断
廿四日 半日休、半日男女薪樵
廿五日 こへ持、男女薪樵、雨天ニ而ハ藁仕事、或ハ綿打、女木綿糸引
廿六日 右同断
廿七日 右同断
廿八日 右同断
廿九日 右同断
晦日 右同断

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